鈴蘭の直営店を七日町通りにオープンして
間もない頃のお話です。
ある日、
修学旅行で会津を訪れていた小学生のみなさんが、
社会科見学で工房鈴蘭へ来てくれました。
商品のことや仕事のことなど、
たくさん質問をしてくれたのですが、
その中で一つ、
今でも忘れられない質問があります。
「会津のいいところや、好きなところは何ですか?」
私は一瞬、言葉が止まりました。

頭に浮かんだのは、
- お米がおいしいこと。
- 水がおいしいこと。
- 鶴ヶ城があること。
- 歴史があること。
- 伝統工芸があること。

思いつくまま答えたのですが、
子どもたちが帰ったあと、
私は、なんだかモヤモヤしていました。
どれも間違いではないのに、どこか自分の言葉ではない気がしたのです。
本当に、
「私は、伝統工芸が好きだから、会津が好きなのかな。」
「私は、お城が一番好きだから、会津が好きなのかな。」
そう考えると、何かが違う気がしました。
子どもたちには、
あたりさわりのない答えしか伝えられなかった。
「あれが私の答えだったのかな。」
という気持ちが残り、
そのことが、少し恥ずかしくて、
申し訳ない気持ちになりました。

そこから、
私はしばらく、自分に問いかけました。
「私は、本当は会津の何が好きなんだろう。」
そして、出た答えが
「四季があるところ。」
でした。

春には桜が咲き、
夏は青空が広がり、
秋には山が色づき、
冬には一面の雪景色になります。

少し足を延ばせば、
磐梯山と猪苗代湖があります。
子どもが生まれてからは、
夏になると家族で猪苗代湖へ出かけることも増えました。
広い青空や湖を眺めながら、
「今年も夏が来たなぁ」と、
自然に季節の移り変わりを感じる瞬間が、私はとても好きです。

満開の桜。
暑い夏。
山いっぱいに広がる紅葉。
たくさん積もる雪。
四季がはっきりしていて、
毎日少しずつ景色が変わっていく。
私は、その変化が好きなんだと気づきました。
そして、
どうしてそう思うのか考えてみると、
工房の存在が大きいと気づきました。

毎朝、工房へ向かい、
空気を感じ、
空を見上げ、
山の色を見て、
季節の移り変わりを感じる。
子どもが生まれてからは、
虫を探したり、雪遊びをしたり、
その季節を一緒に楽しむことも増えました。

今なら、もし同じ質問をされたら、
「私は、会津の四季がはっきりしているところが好きです。」
と、自信を持って答えます。
あの日、小学生のみなさんからいただいた質問のおかげで、
自分でも気づいていなかった気持ちと、ゆっくり向き合うことができました。
あれから10年以上が経ちましたが、
修学旅行で会津を訪れた子どもたちが、社会科見学で工房鈴蘭に来てくれるたび、
この日のことを思い出します。
工房鈴蘭の記録

工房鈴蘭の日々を綴っています。
▶ 工房鈴蘭の記録一覧を見る



