会津まつりの藩公行列の始まりは、
1928年、秩父宮雍仁親王と、
会津藩主・松平容保公の孫にあたる
勢津子妃のご成婚を祝って行われた
提灯行列といわれています。
また、先人への感謝の思いを受け継ぐ行事も行われています。
中でも、歴代の会津藩主や
白虎隊、新選組などに扮した総勢約600人が、
鶴ヶ城を出発し、市内を練り歩く「会津藩公行列」は、
会津まつりのメインイベントです。
鶴ヶ城本丸で行われる盛大な出陣式や、
沿道でのさまざまなパフォーマンスが人気の見どころです。
※鶴ヶ城本丸で行われる、会津藩公行列の出陣式をイメージしたイラストです。
私も子どものころから、ほぼ毎年家族で見に行っています。
特に子どものころは、赤い顔の奴隊(やっこたい)による、
毛槍(けやり)を使ったパフォーマンスを見るのが、
とても楽しみでした。

※会津藩公行列の奴隊をイメージしたイラストです。
我が家の子どもたちも、
「やっぱり祭りといったら会津まつりだよね!」というほど、
藩公行列を見るのが大好きで、今年も楽しみにしているようです。
ここからは、会津まつりが第70回を迎えた
2022年に、工房鈴蘭が記念品の制作に
携わらせていただいたときのお話です。
その年、会津若松市役所から、
会津まつりの特別ゲストの方へ贈る
記念品の制作をご依頼いただきました。
ご依頼の内容は、すべてお任せ。
どのような器をベースにするか。
どのようなデザインにするか。
何を描き、
どのような色にするのか。
まずは、みんなで話し合うところから
始まりました。
会津らしさを感じる、
今までに見たことのない記念品をつくりたい
最初に考えたテーマは、「会津」と大河ドラマ『八重の桜』でした。
最初はグラスで検討しましたが、
鶴ヶ城のダイナミックさを表現するために、
今回は、少し大きなお皿にしよう。
会津らしさを表すなら、鶴ヶ城を描きたい。
タチアオイも入れたい。
(タチアオイは、会津若松市の花に指定されています)
色は、『八重の桜』をイメージした
ピンクと黒の配色にするか。
それとも、鶴ヶ城の凛とした雰囲気を表現するため、
かっこよく、夜空を思わせる配色にするか。
夜の鶴ヶ城を表現するなら、
月はあったほうがよいのか、
ないほうがよいのか。
「三日月が入っていたほうが、きっと雰囲気が出るよね」
「それなら、この配色が合うのではないか」
一つずつ意見を出し合いながら、
少しずつデザインを組み立てていきました。
最初のメモ
当時の資料を探していたところ、
手描きの図案が見つかりました。
図案というより、メモに近いものですが。
大きなお皿の中に、
鶴ヶ城、タチアオイ、三日月。

当時のメールには、
器に小さく文字を入れる案も残っていました。
これは、「2022年の第70回会津まつりの記念品」
という意味を込めて、ご提案したものでした。
最終的には文字を入れず、
鶴ヶ城、タチアオイ、三日月、
そして色の組み合わせで、
会津らしさを表現することにしました。
何を加えるのか。
そして、何を入れないのか。
そうした細かなことを一つずつ検討しながら、
デザインを形にしていきました。
鶴ヶ城は、どの角度から見るのがかっこいい?
このころは、夫が鈴蘭のメンバーに加わり、
器に絵を描き始めたころでもありました。
子どものころから見てきた鶴ヶ城のイメージは、
「かっこいい」
「凛としている」
その雰囲気を表現するために、
「この角度から見た鶴ヶ城が、
いちばんかっこよく見えるのではないか」
そんなことを話しながら、
夫に鶴ヶ城を描いてもらいました。
全体の構図や鶴ヶ城の雰囲気、
タチアオイの配置など、
細かな調整を重ねながら、
何度も描き直してもらいました。
そして同時に、
「絵を描ける夫がいてよかった」
「絵を描ける人が身近にいることで、
こういう新しいデザインを形にできるんだ」
と、心から実感したことも覚えています。
デザインが決まったら、次は工程を考える
描くものは決まりました。
配色について、私たちは
ネイビーとシルバーの組み合わせが
いちばん合うと考えていました。
ただ、ご依頼くださった方は、
イメージ図だけでは判断が難しく、
実際に塗り上がった器を見てから
最終決定をしたいのではないか。
そう考え、話し合いの中で
最終候補に残った4パターンを、
すべてつくることにしました。
すべての案をつくったのには、理由があります。
図案を描き、頭の中で完成形を想像しても、
実際につくってみると、思っていたものと違う。
「やっぱり、こちらのほうがよかった」
そう感じることは、
ものづくりをしていると、よくあるからです。
配色が決まると、
今度は工程の確認です。
このデザインは初めてつくるものなので、
決まった工程も、見本もありません。
どのような工程で進めれば、
このデザインを形にできるのか。
鶴ヶ城とタチアオイを、
細かな線でお皿に描くこと。
お皿の外側から塗りを重ね、
内側にすべての色を見せること。
それまで工房鈴蘭では使ったことのない技術も
必要でした。
一つずつ試して確認しながら、
制作を進めていきました。
力を合わせて完成したデザイン
今回のデザインは、
鈴蘭だけの技術では
完成させることができないものでした。
そのため、一部の工程では、
ほかの会社の技術もお借りしました。
それぞれの技術を持ち寄り、
何度も話し合いを重ねながら、
少しずつ完成に近づいていきました。
みんなで一つの目標に向かい、
新しいものづくりに挑戦した時間は、
わくわくすることばかりで、
本当に楽しかったです。
配色は大きく分けて3パターン。
細かなデザインの違いで、全部で6種類を制作。
配色は、大きく分けて3パターン。
『八重の桜』を思わせる、
ピンクと黒の組み合わせ。
会津の夜を感じる、
紺色と銀色の組み合わせ。
そして、
ピンクと銀色の組み合わせ。
さらに、三日月を入れたもの、
入れないものなど、
細かなデザインの違いによって、
全部で6種類を完成させました。
完成まで進めたのは6種類ですが、
途中の試作段階で止めたものも含めると、
実際につくった数は、それ以上になります。
そこから3つの案に絞り、
さらに細かな色やデザインを検討しました。

その中から、
最終案となる1枚を決めました。
写真:最終的に選ばれた、第70回会津まつりの特別ゲストへ贈る記念品。
鶴ヶ城とタチアオイ、三日月を描きました。
ものづくりの楽しさを実感した時間
何パターンもの配色を試し、
鶴ヶ城を何度も描き直し、
それまで使ったことのない技術や
新しい工程を考えながら、
制作に挑戦しました。
失敗もありましたが、
みんなで考え、試し、
一つのものをつくり上げていくことに、
全員が夢中になっていました。
一つのものが完成したとき、
ものづくりの楽しさを改めて実感しました。
当時の写真を見返すと、
みんなで試行錯誤した時間を思い出します。
鈴蘭にとって、
忘れることのできないものづくりの記録です。
2026年の会津まつり
そして今年も、会津まつりが開催されます。
2026年の開催期間は、
9月19日(土)から21日(月・祝)までの3日間です。
9月19日(土)
提灯行列・会津磐梯山踊り
9月20日(日)
先人感謝祭・会津藩公行列・会津磐梯山踊り
9月21日(月・祝)
日新館童子行列・鼓笛隊パレード
会津藩公行列は、9月20日(日)に行われる予定です。
詳しい時間やコースなどの最新情報は、
会津まつり協会の公式ページをご確認ください。
参考資料
・会津まつり協会「2026年 会津まつり」
https://www.aizukanko.com/kk/festival/aizu-matsuri
・会津まつり協会「2022年 会津まつりガイドニュース 7月号」
https://www.aizukanko.com/kk/festival/info/11673
(いずれも2026年9月11日閲覧)



